保護継電器の基礎知識

近年の電力需要の伸びは誠にめざましく、それに伴う電気施設の発達も著しいものがあります。
保護継電器もまたしかりで、初期のころは機器の付属品程度であったものが、機器の発達・技術の進歩に伴い、高度に発達した機器や電力系統の運用の重要な分野として確立されてきました。
構造的にみると、プランジャ型から誘導円板型 、さらには静止型へと移り変わり、より多くの利点を備えたものとなっています。これらの継電器が長時間にわたって本来の機能を十分に発揮するためには、日常および定期的な保守・点検が重要となります。
これについては、日本電機工業会標準規格(JEM)によりその指針が制定されています(JEM-TR 156)ので、以下、その要点を記します。

保護継電器の分類

(1)用途による分類

①短絡および過負荷保護

過電流継電器(制御器具番号・51)等

②地絡保護

地絡過電圧継電器(同・64)、地絡過電流継電器(同・51G)、地絡方向継電器(同・67)等

③電圧に関する保護

過電圧継電器(同・59)、不足電圧継電器(同・27)等

(2)原理構成による分類

  • ①誘導円板型継電器

    誘導形では最も歴史が古いが、現在でも広く使用されている(図1)

  • ②静止型継電器

    トランジスタ・LSIなどの半導体を応用し、高感度検出・低負担

(3)引出し機能による分類

  • ①引き出し形継電器
  • ②埋め込み形継電器

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※図1.誘導円板型継電器内部構造図

保護継電器の劣化要因と故障

(1)劣化要因

  • ①温度

    耐久時間は絶対温度に反比例し、一般的に使用温度が6~10℃上がるごとに耐久性は半減するといわれています。

  • ②湿度

    多湿により金属の発錆・絶縁物表面の絶縁劣化が起こります。又、絶縁部材としてよく使用されるフェノール樹脂の成形品からは微量のアンモニアガスが発生し、これにより腐食を促進しやすくなります。

  • ③塵埃

    接点面の接触不良、回転部の回転不良などが発生します。また絶縁物に堆積した場合、絶縁性が低下する事があります。

  • ④化学反応

    有毒ガスにより、金属腐食・絶縁劣化等が起こります。

  • ⑤振動・衝撃

    接点誤動作の要因となり、ネジの緩み・可動部の摩耗促進・コイルおよび接続電線の断線などの障害が発生するおそれがあります。

  • ⑥過負荷・サージ電流

    最大定格を超えると破損に至る場合があります。

(2)継電器の寿命

寿命については、「機器の性能が低下して、使用上の信頼性・安全性が維持できなくなるまでの時間」という考え方が一般的ではありますが、「優れた新しい機能を持った新製品の開発により、現存のものが陳腐化した」といった捉えかたもあります。継電器は種々の部品から構成されていますが、各部品の寿命(一般的な寿命)が大体15年程度となりますので、これをメドに更新することが望ましいでしょう。

保護継電器の点検・試験

  • (1)日常点検

    以下の項目について異常のない事を確認します。

    ①全般
    • 振動・音響
    • ケースの温度
    • 異臭
    • 錆・変色
    ②継電器ケースとカバー
    ③端子部
    ④主接点部
    ⑤表示器
    ⑥整定装置(タップ、レバー、ボリューム等)
    ⑦銘板
  • (2)性能試験

    継電器の種類別に試験項目が、種別毎に試験方法が示されています。当社ではこれを基に性能試験を実施しております。

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