高調波測定と対策

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1.測定の目的

(1)直列リアクトル付コンデンサ設備への影響の確認

  1. 直列リアクトル付コンデンサ設備に異常(うなり音、過熱等)が生じている場合に、この原因が高調波であるかどうかを確認する
  2. 異常がない場合には今後発生する可能性があるかどうかを確認する

(2)OA・FA機器等への影響の確認

  1. OA・FA機器等(直流定電圧電源回路(スィッチングレギュレータ)を有する機器、またはサイリスタ制御装置等の位相制御する機器)に異常(誤動作等)が生じている場合には、この原因が高調波であるかどうかを確認する
  2. 新たにOA・FA機器等を設置する場合に、異常なく使用できる環境であるかどうかを確認する

(3)構内設備の現状の高調波環境を把握する

  1. 構内設備から発生する高調波(流出)の配電系統に与える影響、あるいは配電系統の高調波(流入)が構内設備に与える影響の有無を判断するために、構内設備全体の高調波環境を確認する

2.測定のポイント

(1)直列リアクトル付コンデンサ設備

  1. 測定にあたって

    直列リアクトル付コンデンサ設備の異常は特殊な場合を除き、主として電源電圧に含まれる高調波電圧により高調波電流が多量に流れることで発生する。電源電圧に含まれる高調波電圧は、配電系統のインピーダンス条件や設備の稼働状態によっても時々刻々変化するため一定ではなく、1日中でも変動し、また平日と土曜・日曜ではその値が異なることが多く見受けられる。このことから、測定は瞬時の測定だけではなく、少なくとも土曜・日曜・平日を含む4日間程度の連続測定を行う必要がある。
    測定時間間隔については、操業時間帯とその他の時間帯との区別がつく間隔がよく、あまり測定間隔が短いといたずらにデータが大量になってしまうことから、30分または1時間間隔での測定が望ましいといえる。
    なお特殊な場合とは、自設備または近隣の需要家に大容量の発生機器がある場合を指すが、こういった機器からの高調波電流の流れ込みが異常の原因と想定されるときは、その機器の稼働時間帯を含む1~2日程度の連続測定を行う。この場合の測定間隔も30分または1時間間隔とする。

  2. 測定結果の分析
    1)判定基準
    機器名 判定基準 根拠
    直列リアクトル 第5調波電流含有率 35%以下・電流実効値が定格電流の120%以下 JIS C4801(1990)準拠
    コンデンサ 電流実効値が定格電流の130%以下 JIS C4902(1990)準拠
    設備が回路から開放されている場合 第5高調波電圧含有率 3.5%以下 6%リアクトルは上記条件にて第5調波電流含有率が35%を超過する
    2)対策

    ○直列リアクトルの高調波耐量のアップ

    第5高調波電流含有率が 35%を越えるとリアクトルが焼損する可能性もあるので、新JIS(JIS C4902(1998))適用品のリアクトル(許容電流種別Ⅱ:第5高調波電流含有率許容値55%)を施設する。
    なお、第5高調波電流含有率が 55%を越えるおそれがある場合には次のいずれかを適用する。

    • リアクタンス6%、第5高調波電流含有率許容値70%のリアクトル
    • リアクタンス13%、第5高調波電流含有率許容値70%のリアクトル

    ただし、これらの場合にはコンデンサに加わる電圧が上昇するので、それを考慮した定格電圧のコンデンサと併用する必要がある。

(2)OA・FA機器等

  1. 測定にあたって

    OA・FA機器等の異常は、高調波電圧により電源電圧波形が大きく歪むことにより生じるが、その形態は次の2種類に大別できる。

    • 位相制御の誤動作・不安定 → サイリスタ制御装置など位相制御をする機器
    • 電圧波高値の低下による誤動作・不安定 → スイッチングレギュレータを有する機器

    OA・FA機器等に異常が生ずるほどの大きな電圧歪みは、一般的には配電系統の電圧歪みから生ずることは少なく、同じ変圧器の2次側回路に大型または大量の高調波発生機器がある場合が想定される。
    この場合の測定は、高調波発生機器の稼働時間帯を含む2~3日程度の連続測定を行う。測定間隔は30分程度とする。

  2.  測定結果の分析
    1)判定基準

    OA・FA機器等の電源電圧の電圧歪み許容値は、現在のところ確たる基準が定められていない。よって、高圧系統の環境目標レベルである電圧歪み率5%を許容値の目安とする。

    2)対策

    電圧歪み率が5%を越えた場合は、機器製作メーカーに判断を仰ぐことになる。
    メーカーより”電圧歪み率や波高値の低下度合いが大きすぎる”などの回答があった場合は電源系統(変圧器)を変更する。
    電源系統の変更ができない場合は、電圧歪みの発生源である高調波発生機器からの高調波電流を抑制する必要がある。

(3)構内設備

  1. 測定にあたって

    高調波の発生量は、系統・構内の各高調波発生機器等の負荷変動によって常に変化している。
    このため、測定は瞬時ではなく連続測定が必要となる。
    測定箇所としては次の点が上げられる。

    • 受電点
    • コンデンサ設備
    • 特高,高圧母線
    • 変圧器2次幹線

    測定期間は、平日2日程度又は、土曜・日曜・平日を含む4日程度の連続測定のいずれかを行う必要がある。測定間隔は30分~2時間程度の範囲がよいと思われる。

  2.  測定結果の分析
    1)判定基準

    高調波電流と電圧歪みの相関関係をみることで判断する。

    電圧歪み率が5%を超過しているような場合は、低圧回路の機器等に与える可能性に対処する必要がある。さらに、どの変圧器バンクの負荷から高調波電流が発生しているか確認し、高調波電流抑制対策を施す必要がある。

    受電点の高調波電流の変化と高調波電圧の変化の傾向が類似している場合は、構内設備から発生した高調波電流が系統に流出し、電圧歪みを形成している可能性がある。

    受電点の高調波電流と高調波電圧の変化の傾向が類似せず、特に構内設備の軽負荷時に電圧歪みが大きい場合は、系統側から高調波電流が流入していると考えられる。この場合は、各測定点での電圧歪みがコンデンサ設備や低圧機器に与える影響を検討し、対処することが必要になる。

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