保護継電器の試験

1.試験の種類

試験の種類 試験目的
形式試験 継電器の設計・製造技術の良否を判定するための試験で、その形式を代表する少数の継電器について詳細、かつ多項目にわたって行う試験をいい、受け渡しの際には実施しないことを原則とする。
受入試験 製品の受け渡しを決定するための試験で、多数の継電器について特定項目だけに限定して行う。
竣工試験 設置目的を満足するかを確認するために行う試験で、継電器の整定を実使用整定として、特定項目について行う。
定期試験 稼働中の継電器の信頼度を確認するために行う試験。
臨時試験 稼働中に特別な理由で定期試験以外に行う試験。たとえば継電器が原因不明
動作をしたとき、また、事前に不良が予測される場合の特定項目の試験など。

2.定期試験

(1)点検周期

点検実施の周期は、電力系統を構成する機器・線路などの事故率および事故が及ぼす影響の度合い・継電器設置場所の環境・継電器の監視機能の有無などを考慮して使用者側で判断する事項ではありますが、当社では1~3年間隔で実施されることをおすすめしております。

(2)試験用機材

継電器には電流を入力とするもの、電圧を入力とするもの、電流と電圧を入力とするものなどがあります。試験を行うにあったては動作原理や特性を十分理解した上で、目的にあった試験器具(電流・電圧・位相等の調整器や、それらを読みとる計器類など)を選ぶ必要があります。

①事前点検および校正

使用する測定器類は、少なくとも1年に1回程度校正したものを使うことが必要です。長期間校正していない誤差のある測定器では、試験の意味が半減します。

②主な計器類について
  1. 電流計・電圧計
    • 精度は0.5級以上を使用する
    • 有効目盛範囲で測定する
      (なお、計器の精度は一般に最大指示値における誤差で、指示値が小さいほど誤差の百分率が増加するので、できるだけ最大指示値付近で測定する)
    • 変成器を使用するときは、その誤差を考慮する
    • 波形が歪んでいる場合は、計器の動作原理により指示値がことなることがあるので注意を要する
  2. 位相計
    • 精度は少なくとも3度以内のものとする
    • 周波数切替に注意する
    • 所定の電流・電圧を印加しないと誤差が増大することがあるので、安全指示となる条件で測定する
    • 極性を間違えないこと
③試験用端子

配電盤・制御盤などには、継電器の試験または計器類の校正を行うために試験用端子が設けられています。

  1. 締め付け形試験用端子
    盤表面に取り付けられ、締め付けねじ端子間に短絡片を締め付けて回路を構成しています。
    cttansi
  2. プラグイン形試験用端子
    試験用プラグを用いて試験回路を接続するもので、盤に埋め込んで取り付けられています。
    この試験端子は、変成器側と継電器側が常時試験用端子の接触子で直接接続されるものと、接続プラグを挿入することによって接続されるものがあります。
    ctpuragu

(3)試験にあたって

①主回路の停止

継電器を試験する場合は、原則として主回路を停止させ、必要に応じて、引き外し回路・警報回路をロックします。

②CT回路の分離

CT2次回路を短絡し、継電器側を回路から切り離します。作業時は以下の点に注意が必要です。

  1. 充電中のCT2次回路は絶対に開放しないこと
    謝って開放すると高電圧を発生するおそれがあります。
    a)締付け形試験用端子の場合

    Topen

    1. 切り離し時・・・①のようにCT2次側を短絡してから②・③を外す
    2. 復旧時・・・②・③を接続してから①を外す
    b)プラグイン形試験用端子と試験用プラグの組み合わせの場合

    tansiopen

    1. 切り離し時・・・①を短絡してから試験用プラグを差し込む
    2. 復旧時・・・試験用プラグを抜いてから①を外す
  2. Y結線CT回路の取り扱い
    地絡過電流継電器(OCG)に過大電流が流れるおそれがありますので、注意が必要です。
    51gct
    1. 切り離し時・・・①、②を短絡してから③を短絡する
    2. 復旧時・・・③を外してから①、②を外す
③PT回路の分離

PT2次回路を開放し、継電器側を回路から切り離します。
作業にあたっては、次の事項に注意が必要です。

  1. 充電中のPT2次回路は絶対に短絡してはならない
    PT2次回路を短絡するとヒューズが溶断します。
    ptshort
  2. 充電中のPT2次回路は絶対に地絡させてはならない
    PTの2次側は接地してありますので、地絡電流によりヒューズが溶断します。
    ptg

    ※1)・2)の場合とも、ヒューズが溶断すると不足電圧継電器(27・UVR)が不要動作し、主回路の遮断等のおそれがあります。
④制御電源の取り扱い

制御電源を不用意に開放すると、試験回路以外の回路も無保護状態となることもありますので、該当する回路だけを開放するよう取り扱いに注意します。

(4)判定基準

定期試験は、竣工時の特性に対して経年的な変化を観、”継電器が適用されている対象”に対してその機能が満足しているかを試験するものです。よって、その判定基準は受入試験におけるそれとは本質的に異なります。

①判定基準に合致している場合

次回定期試験における判定基準ともなりますので、記録し保存しておきます。

②判定基準から外れている場合
1)多少外れている場合

受入試験結果または前回の試験結果と多少異なっている場合は、試験設備の違いや試験条件の変化などが原因として考えられます。
JEC-2500による試験条件は次の通りです。

周囲温度 20℃±10℃ 外部磁界 80A/m以下
取付角度 正規位置±2度 周波数 定格周波数±1%
波形(交流時) 歪み率2%以下 交流分(直流時) 脈動率3%以下
制御電源電圧 定格電圧±2%

誤差の原因が継電器自身にあることが判明した場合は、実用上の支障の状況を考慮して一時的に使用出来るか等の判断をします。

2)大幅に特性が変化している場合

大幅な特性の変化や誤動作の主な要因は以下に示します。

  • 部品の摩耗故障に起因するもの
  • 部品の偶発故障によるもの
  • 試験手順などの単純ミスによるもの

これらの場合は試験方法・回路等の再確認をし、交換・返品・修理などの処置が必要になります。

(5)主な継電器試験について

  1. 高圧受電用過電流継電器の試験
  2. 過電流継電器の試験
  3. 高圧地絡継電装置の試験
  4. 地絡過電流継電器の試験
  5. 高圧配電線用地絡方向継電器の試験
  6. 高圧受電用地絡方向継電器の試験
  7. 地絡過電圧継電器の試験
  8. 過電圧継電器の試験
  9. 不足電圧継電器の試験